第6回本格ミステリ大賞結果発表
投稿日: 2006年05月20日(土) | カテゴリ: 推理小説
本格ミステリ作家クラブの公式サイト(honkaku.com)で、第6回本格ミステリ大賞の結果が発表されていた。本格ミステリ作家クラブに所属する作家や評論家による、選評付き・記名式の投票により決定されるミステリの賞。最初に運営委員により候補作が選ばれて、それを全部読んだ人でないと投票できないシステム。無記名やコメント無しの投票は認められない。選評はすべて公開されるので、無責任な推薦ができない(『ジャーロ』夏号に掲載)。今の「本格」について考える、「本格とは何か?」を常に問うていくための賞、本格ミステリというジャンルのための賞、だったと思う。
小説部門はやっぱり東野圭吾『容疑者Xの献身』。二階堂黎人の「本格じゃない」発言から、笠井潔の「トリックがすぐわかる簡単な本格」評など、かなり論争になった作品だけど、推薦者の選評はどうなってるのかな、楽しみ。意表を突かれたのが、評論・研究部門の大賞が北村薫『ニッポン硬貨の謎』だったこと。小説部門じゃないのかぁ。それから、小説部門の第2位に島田荘司『摩天楼の怪人』が入ってること。いかにも島田荘司の御手洗モノって感じで、連載を読んでる最中は新味を感じなかったんだけど。「ベタ」って感じだったような。
結果一覧:
順位 | 作品 | 票数 |
---|---|---|
1 | 東野圭吾『容疑者Xの献身』 | 17 |
2 | 島田荘司『摩天楼の怪人』 | 15 |
3 | 石持浅海『扉は閉ざされたまま』 | 12 |
4 | 道尾秀介『向日葵の咲かない夏』 | 8 |
5 | 柄刀一『ゴーレムの檻』 | 7 |
順位 | 作品 | 票数 |
---|---|---|
1 | 北村薫『ニッポン硬貨の謎』 | 14 |
2 | 笠井潔『探偵小説と二〇世紀精神』 | 11 |
3 | 加藤幹郎 『ヒッチコック「裏窓」ミステリの映画学』 | 9 |
4 | 山口雅也 『ミステリー映画を観よう』 | 1 |
評論・研究部門は1位・2位ともに、エラリー・クイーンが中心に語られている点が興味深い。
両部門とも1位2位の作品は単行本・連載で読んだ。小説部門の残り3作品も面白そうだな。とりあえず、全選評が載る『ジャーロ』夏号を買おう(6/15発売)。